忍者ブログ
フィクション
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


京都タワー。

サイクリングの後、いつも京都駅へ向かう時の道しるべになっていました。
京都タワーのデザインは、賛否両論です。

それはさておき、ここで一つ疑問が。
なぜ京都タワーは

「ろうそく」

の形をしているのでしょうか?それにはとても悲しい過去がありました。



幕末の江戸末期。攘夷だ維新だと荒れた時代がありました。
そんな中、ひっそりと暮らす人たちもいました。
蝋燭商人の彦三郎もその一人です。
彼はどんな時代が来ようとも、300年以上続くこの老舗蝋燭屋を守り続けてきました。一本一本ていねい蝋燭を作り、伝統の和蝋燭を継承してきました。京での評判も上々で、あとは一人息子にその腕を継がせる事だけが彼の使命でした。

けれど、その日は突然やってきました。息子の平次が、志士と新撰組の争いに巻き込まれ、不幸にも命を落としてしまいました。それまで明るかった彦三郎の商店は、文字通り突然火を消した様に暗くなってしまいました。悲しみに明け暮れる日々が続き、商店も風前の灯火となっていました。周囲ももはや励ます言葉さえかけられません。



その彦三郎を救ったのは、息子の手記でした。
その中には彼の蝋燭への思い。昔から見てきた父の背中。憧れてきたその技術。そして街の人からの信頼。それら全てを継いで、この店を守りたい。その思いで溢れていました。

彦三郎は決心します。いつまでも悲しんでいてはいけないと。このままでは息子に会わせる顔がない。
蝋燭職人への道を、志半ばで終えてしまった息子のために、1000本の蝋燭を作ろう。それを京都の街一杯に照らす明かりにし、息子へ届けよう。

彼の挑戦が始まります。一本一本丁寧に、時間をかけて作られる蝋燭は、今まで作られたどの蝋燭よりも上質で、もはや他の職人には到底まねのできる物ではありませんでした。年月をかけ、ようやく999本まで彼は蝋燭を作りました。あと一本で、息子への思いが成就する。彼はそれでも気を抜かず、最後の一本の制作にかかりました。



彼は、最後の一本を完成させる事はできませんでした。病に倒れ、そのまま目を覚ます事なく帰らぬ人となりました。

不憫に感じた街の人々は、京都中の蝋燭職人に最後の一本の制作を依頼しました。けれど、彦三郎の蝋燭を作れる職人は誰一人いませんでした。中途半端なものを作るくらいなら、999本の蝋燭を灯そう。生前、彼ら親子が足しげく通った東山で、灯してやろう。街の人たちの思いで、現在の円山公園近辺でその明かりは灯されました。


現在、彦三郎の店があった場所には、あの京都タワーが建っています。最後の一本には到底届く物ではないけれど、せめて京都一高い蝋燭で弔おうという市民の思いが形になりました。
東山での999本の蝋燭は、灯籠に姿を変え、現在の花灯炉へと姿を変えました。



これで、お話は終わりです。
長い文章をここまで読んで頂き、ありがとうございます。
京都タワーへの見方が少しでも変わったら幸いです。
PR
はじめまして。

京都が好きな祗音です。

出身は東京、現在も近畿圏に住むも京都に住んだ経験はありません。
自転車で京都を散々ぶらぶらしてきましたが、未だに謎多き京都。
そんな京都の謎に、勝手にストーリーを作ってみました。

このブログの中身は、全て

「フィクション」

です。登場人物・舞台・時代設定その他もろもろ全て、空想です。
そんなブログですが、怒らず最後までお付き合い頂けたら幸いです。

祗音
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[07/30 【おとなのコラム】]
[07/06 貴様]
[07/05 祗音]
[06/30 貴様]
最新記事
(06/25)
(06/25)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
祗音
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
(06/25)
(06/25)
アクセス解析
忍者ブログ [PR]
"祗音" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY NINJA TOOLS @ SAMURAI FACTORY INC.